「スローフード」と「ロハス」、「地産地消」の違いとは?
「地産地消」を掲げた飲食店が増えたり、ふるさと納税で各地の農作物や水産物が各家庭に届けたりすることなどから「地産地消」という考えが広まっていますね。
また、「地産地消」に近い言葉があり、それが「スローフード」と「ロハス」です。「ロハス」は一時期メディアでも押されていましたが、今は健康志向な人がたどり着く最終地点のような扱いになっていますね。
それでは今回は、「スローフード」と「ロハス」、「地産地消」の違いについてお伝えします。
スローフード
「スローフード」はその土地の伝統的な食材や食文化を見直す国際的な社会運動やその食品自体のことを指します。
1980年代半ばにスペイン広場にマクドナルドが開店したことをきっかけに、ファストフードに伝統的な食文化が食いつぶされてしまうという危機感が生まれ、スローフード運動へとつながりました。ファストフードに対して唱えられた運動なので、「スローフード」。
そして、1986年にイタリアの食文化雑誌の編集者カルロ・ペトリーニが「アルチ・ゴーラ」という美食の会を作ったことからスローフード運動が世界へと広がっていきました。
ちなみに、手軽に食べられて安いファストフードは、日本でも1990年代にバブルが崩壊するまで右肩上がりの成長をしています。外食は特別な日に食べるものでしたが、ファストフード店の進出により、日常の昼食や夕食へと変化し、「外食産業」という言葉も生まれました。
ロハス
「ロハス」は地球環境と健康を重視する生活様式。
「LOHAS」は「Lifestyles of Health and Sustainability」の略語で直訳すると健康で持続可能な、またこれを重視する生活様式となります。
1990年代後半にアメリカで社会学者のポール・レイと心理学者のシェリー・アンダーソンが行った社会調査にエコロジー製品企業ガイアム の社長ジルカ・リサビが提案したことを基に生み出されたマーケティングコンセプトです。
日本ではエコやスローライフに続いて広まった言葉で、地球環境を守りつつ健康重視の食事や生活をすることを指す言葉として知られています。でも、本場アメリカではマーケティングコンセプトなので一般人の間で使う言葉ではなく、ビジネス用語の扱いと少し日米間で温度差のある言葉といえるでしょう。
地産地消
「地産地消」はその地域で生産された生産物や資源をその地域で消費すること。
「地産地消」は地域生産・地域消費の略語です。
1981年から4年計画で農林水産省生活改善課が実施した地域内食生活向上対策事業で生まれた言葉。農業関係者には広まっていましたが、一般人はあまり使わない言葉でした。2000年にメディアに取り上げられたことや2003年に公約に掲げる政治家がいたこと、2008年に始まっていたふるさと納税が2015年に法改正されたときにメディアで大きく取り上げられたことなどから一般人にも広がりを見せました。
ただし、ふるさと納税の場合は正確に言うと「地産全消」です。
地産全消
「地産全消」はその地域で生産された生産物や資源を全国で消費すること。
「地産全消」は地域生産・全国消費の略語です。
地産地消よりも使われない言葉ですが、カゴメ株式会社が笑顔をつなぐ地産全消プロジェクトを行っていたり、全国各地の飲食店などがフェアをするなど「地産全消」を掲げているところもあったりします。
ふるさと納税で意味の上では誤っている「地産地消」を使っているのは、一般的にわかりやすいからでしょう。
「スローフード」と「ロハス」、「地産地消」の違いとは?
「スローフード」と「ロハス」、「地産地消」は発祥の国が違いますが、考え方は似ています。「地産地消」は地元での消費になるので、「地産全消」の方が正確にいうと近い(「地産全消」の意味で「地産地消」を使う機会も少なくない)です。
また、強いて言うならば、「ロハス」は環境の保護のことも考えた言葉です。でも、「スローフード」や「地産地消」も環境破壊して生産物を作ることを目的にしていないため、環境への配慮は十分していると考えられます。意味だけでいうと完全に同じとは言えませんが、大きくまとめると近い言葉です。
今回は「スローフード」と「ロハス」、「地産地消」の違いについてお伝えしました。
なじみがある言葉の順で言うと、ロハス≧地産地消>スローフードといった感じ。もちろん、人によっては順位が前後すると思います。
また、健康志向をつきつめていくと「ロハス」の考え方にたどり着くと言う人もいるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
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