「ハチミツ」と「ローヤルゼリー」、「プロポリス」の違いとは?

蜂に怖いというイメージを持っている人もいますが、ミツバチやアシナガバチは野菜や果物の受粉も助ける益虫。

攻撃性の高いスズメバチも家や畑の近くに巣を作られると困りますが、農作物を荒らすイモムシやバッタを食べるので完全に害虫とは言えない虫です。ちなみに、スズメバチは樹液などをなめることはあってもミツバチのように巣へ蜜を集めるということはしません。さらに、蜂は1度しか刺せないという話がありますが、それもミツバチやアシナガバチのことで、スズメバチは何度も指すことが出来ます。

話が変わりますが、蜂が集める「ハチミツ」、女王蜂だけが食べる「ローヤルゼリー」、鉢ヤニとも呼ばれる「プロポリス」はどれも健康食品ですね。「ハチミツ」は抗酸化作用の高いマヌカハニーが注目され、2017年にはブームとなりました。「ハチミツ」は他にも、精製された白砂糖が体に良くないということでその代わりに使う人もいますね。

今回はそんな「ハチミツ」と「ローヤルゼリー」、「プロポリス」の違いについてお伝えします。

ハチミツ

「ハチミツ」はメスのミツバチが採集した花の蜜を蜜嚢(みつのう)で貯えて巣へと持ち帰り、巣で加工・貯蔵されるもの

蜜嚢は蜜を集めるための器官で蜜胃とも呼び、胃の前部にあります。

また、花の蜜を直接吸ったことのある人は「ハチミツ」ほどの甘さがないと思ったこともあるでしょう。それもそのはずで、花の蜜は水分が多く、蜂が巣に持ち帰ったものは水分が発散されたものが貯蔵されています。(ミツバチの唾液に含まれる酵素が混入することで蜜の中のスクロースがブドウ糖と果糖に分解された状態で貯蔵。)花の蜜を採集した段階では糖度40%未満ですが、巣にあるものは糖度80%程度です。

ちなみに、1つの種類の花のハチミツを「単花蜜」、いろいろな種類の花のハチミツを「百花蜜」と言います。花がたくさん咲いているのに1種類だけの蜜を集めるというのがありえるのかと考える人もいるかもしれませんが、ミツバチには訪花の一定性という性質があり、1つの花が咲き終わるまで通い続けて花の蜜を集めるので可能です。

ハチミツの種類は他にも、採蜜されたものを人の手で混ぜ合わせる「ブレンド蜜」や樹液から採蜜された「甘露蜜」があります。

ローヤルゼリー

「ローヤルゼリー」はミツバチの働き蜂が蜜や花粉を食べ、体内で分解・合成し、咽頭腺や大腮腺から分泌する乳白色の物質のこと

「ローヤル」と名前がついているだけあり、女王蜂だけが食べる特別食です。女王蜂も働き蜂も卵の段階では違いがないのですが、ローヤルゼリーを食べ続けた女王蜂は働き蜂の2~3倍ほどの大きさまで成長し、寿命も働き蜂より長いです。

女王蜂がどうやって決まるかというと、王台と呼ばれる特別な部屋に産みつけられた卵から孵化した蜂がなります。つまり、生まれた時点で女王になることが決まれているということ。

また、「ローヤルゼリー」は「ハチミツ」のような甘さはなく、酸っぱいです。そのため、生のローヤルゼリーよりもサプリメントになって商品化していることが多いでしょう。

プロポリス

「プロポリス」はミツバチが樹木の新芽や樹液などと酵素を含む唾液を混ぜ合わせて作った物質

ギリシャ語で「プロ」は守るという意味があり、「ポリス」は都市。その2つの語を合わせて「都市(蜂の場合は巣)を守る」という意味。

そして、蜂がどのように「プロポリス」を使っているかというと、巣の外壁や隙間に塗りつけ、菌の侵入や巣内で死んだ昆虫などの腐敗を防ぐために使っています。大きな隙間の場合は蜜蝋で埋め、小さな隙間を「プロポリス」で埋めるという使い分けもしています。

また、「プロポリス」は独特なにおいと苦味があり、原液が苦手という人も少なくありません。「ローヤルゼリー」のようにサプリメントになっているものもありますし、歯周病の予防にもいいということで歯磨き粉や飴になっている商品もあります。

「ハチミツ」と「ローヤルゼリー」、「プロポリス」の違い

「ハチミツ」と「ローヤルゼリー」、「プロポリス」の違いは原料、味、におい、成分、用途です。

それぞれの違いは、以下の表をご覧ください。

ハチミツ ローヤルゼリー プロポリス
原料 花の蜜 花粉や花の蜜 樹木の新芽や樹液
甘い 酸っぱい 苦味がある
におい ほのかに香る花のにおい 発酵臭(採集直後は乳製品に近いにおい) 独特な刺激臭
成分 ブドウ糖
果糖
グルコン酸などの有機酸
微量のミネラルやビタミン、アミノ酸
たんぱく質
脂質
ビタミン
ミネラル
アミノ酸(アミノ酸スコア100で鶏卵と同等)
ヒドロキシデセン酸
アルテピリンC
クロロゲン酸
フラボノイド
テルペノイド
p-クマル酸
4-カフェオイルキナ酸
ミネラル
ビタミン
用途(蜂視点) 働き蜂の食事 女王蜂の食事 巣の隙間に塗るもの

今回は「ハチミツ」と「ローヤルゼリー」、「プロポリス」の違いについてお伝えしました。

「ハチミツ」はボツリヌス菌が怖いので乳児には与えてはいけません。熱にも強い菌なので1歳を超えるまではあげないようにしましょう。また、少量ながら花粉が含まれるので、その植物にアレルギーがあると成人でも気分が悪くなったり、口の中がピリピリしたりするので注意。それら2つに注意すれば、健康食品なので積極的に取りたい食品です。

ぜひ参考にしてみてください。