「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」の違いとは?

2019年8月1日

繊維の中でも生産量が特に多い「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」。

この3つを「三大合繊」や「三大合成繊維」と呼び、生産量は綿や羊毛を含めた全繊維中の約3分の2を占めています。

3つとも石油を原料をしていることは知っている人も多いですが、何が違うか説明できる人というのはファッション業界で働いているかファッションに詳しい人でないと無理ではないでしょうか?

今回はそんな「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」の違いについてお伝えします。

アクリル

アクリル

「アクリル」は石油を原料とした合成繊維。(※それぞれの特徴は後述

1950年にアメリカのデュポン社が工業生産を開始した繊維です。

アクリルが使われる製品はセーターや毛布など。

また、羊毛に似た性質の短繊維(ステープル)とシルクに似た性質の長繊維(フィラメント)があります。ステープルの利用の方が多いです。

さらに、主原料を詳しく言うとポリアクリロニトリル。ポリアクリロニトリルが85%以上のものをアクリル繊維と呼び、ポリアクリロニトリルが35~85%、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを含むものをアクリル系繊維と呼びます。

ナイロン

ナイロン

「ナイロン」は石油を原料とした合成繊維

1936年にアメリカのデュポン社が発明し、当時のキャッチフレーズは「クモの糸より細く、鉄よりも強い」でした。(開発当初は石炭を原料として使っていました)

ナイロンが使われる製品はバッグやニット製品など。

また、アクリルのように繊維の長さや原材料の含有量などで呼び方が変わったりしません。

ポリエステル

ポリエステル

「ポリエステル」は石油を原料とした合成繊維

1950年代にアメリカのデュポン社とイギリスのICI社がそれぞれ開発した繊維です。アメリカで開発された方はダクロン、イギリスで開発された方はテリレンで、ポリエステル繊維のことを今でもそう呼びます。

ポリエステルは洋服やスポーツウェアなどに使われています。(速乾性やしわになりにくいなど様々な利点あり。)

また、ポリエステルはペットボトルに使われるポリエチレンテレフタレート、フィルムとしても利用されるポリエチレンナフタレート、バネのような伸張性や形状記憶に優れたポリトリメチレンテレフタレート、生産量の少ないポリブチレンテレフタレートなどの種類があります。

そして、ハイテク技術を駆使し、マイクロファイバー化されたものが主流です。

「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」の違いとは?

「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」は原料は一緒ですが、特徴は全然違います。

特徴に関しては、下の表をご覧ください。

アクリル ナイロン ポリエステル
似ている繊維 羊毛・シルク 木綿
強度 強い 強い 極めて強い
耐久性 高い 高い 高い
耐熱性 高い 高い 高い
耐光性 低い 低い 高い
汚れ やや落ちにくい
(逆汚染はポリエステルほどではないけど、起こる場合あり)
落ちやすい 落ちにくい
(汚れを吸い取りやすく、逆汚染という現象が起こることもある)
その他の特徴(メリット)
  • 染色性に優れ、色落ちもしにくい
  • 薬品に強く、カビや虫害を受けない
  • シワになりにくい
  • 保温性が高い
  • 熱可塑性がある
  • 摩擦や摩耗に強い
  • カビや虫害を受けにくい
  • 乾きが早い
  • シワになりにくい
  • 熱可塑性がある
  • 光沢感がある
  • 薬品に強く、カビや虫害を受けない
  • 吸水性が低く、乾きやすい
  • シワになりにくい
  • 熱可塑性がある
  • 異色染や減量加工ができる
その他の特徴(デメリット)
  • 静電気が発生しやすい
  • 毛玉が発生しやすい
  • 酸に弱い(薬品には強いですが、酸は苦手)
  • 静電気が発生しやすい
  • 価格が高め
  • 静電気が発生しやすい
  • 温度変化に弱い

今回は「アクリル」と「ナイロン」、「ポリエステル」の違いについてお伝えしました。

生産量が多いのは「ポリエステル」で「アクリル」と「ナイロン」を合わせた量よりも多く生産されています。ただし、三大合繊と呼ばれるだけあって、「アクリル」や「ナイロン」の生産量が少ないわけではありません。それくらい「ポリエステル」の需要が高くなってきているということですね。

ぜひ参考にしてみてください。