「禁固」と「懲役」の違いとは?
テレビのニュースで「禁固3年」や「懲役3年」という言葉を聞くことがありますね。
刑務所に入れられるということはわかりますが、どう違うのかは意外と知らない人も多いです。
また、「懲役」の方が「禁固」よりも重罪の人に科せられるというイメージもあります。
今回はそんな「禁固」と「懲役」の違いについてです。
禁固
「禁固(禁錮)」は刑事施設に30日以上の期間拘束される自由刑。
刑事施設というのは監獄や牢屋をイメージするといいですが、2006年に「監獄法」が廃止されたために刑務所・少年刑務所・留置所などをまとめて「刑事施設」と呼ぶようになりました。
自由刑は自由とついていますが、自由を奪われる刑という意味です。
刑事施設に入ることで、食事の量や時間、娯楽、自由に移動することなどが制限されます。
また、「禁固」の場合は、ドラマやアニメなどで出てくる刑務所内での労働(刑務作業)の義務はありません。
でも、実際は何もしないでただ時間が経つのを待つというのはつらいものがあり、刑務作業を希望することがほとんど。
「禁固」の場合でも申し出れば、刑務作業をすることが出来ます。
そして、義務がないからといっても希望して許可された後に、刑務作業を拒否すると懲罰対象です。
今日は刑務作業をして明日は休むというようなことは出来ません。
ちなみに、「禁固」が言い渡されるのは、政治犯や交通事故、業務上過失などの害を与えるつもりはないけど犯罪になってしまったケースが多いです。
拘留
「禁固」に似た刑で「拘留」というものがあります。
「拘留」は刑事施設に1日以上30日未満拘束される自由刑。
最も軽い自由刑が「拘留」で、逮捕されてから留置所に入れられている期間が拘留刑の期間から引かれます。
さらに、刑務所に入る前の手続きなども考えると、留置所で満期になることも多いでしょう。
ちなみに、「拘留」が言い渡されるのは、軽犯罪法違反や侮辱罪、公然わいせつ罪などです。
勾留
「拘留」と同じ読みで違う漢字の「勾留」というものもあります。
「拘留」は刑罰ですが、「勾留」は被疑者や被告人の身柄を拘束する刑事措置です。
被疑者というのは罪を犯したと疑われている人、被告人は検察官により公訴を提起された人。
そして、期間は被疑者と被告人で違い、被疑者の場合は10日間、被告人の場合は2ヶ月。
被疑者の場合は検察官の訴求で10日以内の延長があり、内乱などの例外の場合は、さらに5日以内の延長が認められています。
被告人の場合は1ヶ月ずつ更新することが可能。
また、どちらの場合も逃亡や証拠隠滅などを防止するためです。
ちなみに、痴漢の被疑者の場合は、「勾留」されることが減ってきました。
冤罪の可能性もゼロではなく、勾留されているうちに社会的信用を失って失職につながりかねないからです。
法律に詳しい人でないと、被疑者と被告人、罪人の区別は意外と曖昧ですよね。
容疑をかけられている段階でよからぬ噂がまわるなんてことは、よくあることです。
懲役
「懲役」は刑事施設に1ヶ月以上20年未満拘束され、刑務作業を行わせる刑。(刑罰が加重している場合は最長30年。有期でない場合は、無期懲役があります。)
「禁固」では希望者のみだった刑務作業が「懲役」の場合は義務です。
刑務作業は無償ではありませんが、1ヶ月で平均4700円程度。(1日ではなく、1ヶ月です)
このお金は「作業報奨金」と言い、これを被害者や被害家族に送る受刑者も少なくありません。
また、「懲役」が言い渡されるのは、故意の犯罪が多く、「禁固」よりも重い罪に適用されます。
「禁固」と「懲役」の違いは?
「禁固」と「懲役」で大きく違うのは、刑務作業が義務かそうでないかです。
「禁固」でも刑務作業を申し出る受刑者が多く、刑務所での生活はあまり変わらないでしょう。
また、悪意のない罪に「禁固」、悪意のある罪に「懲役」が言い渡されることが多いですが、必ずではありません。
国によっても違い、海外のニュースだと重い罪でも「禁固20年」と聞くこともあるでしょう。
「懲役」の上限も国で違い、タイで起きた詐欺事件で「懲役14万1078年」というものがあり、ギネス記録に認定されています。
今回は「禁固」と「懲役」の違いについてお伝えしました。
ニュースを聞く時に意識するようにすると、この罪だとこのくらいの期間と考えることもできます。
ぜひ参考にしてみてください。
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