「新薬」と「ジェネリック」の違いとは?

CMやメディアでも「ジェネリック」を聞くことがあり、政府主導で普及がすすめられています。

医療保険財政のために厚生労働省が普及をすすめ、2017年にシェア70%以上、2018年~2020年にシェア80%以上を目指しているようです。

また、消費者側からすると、薬代が安く済むというイメージがありますが、違いはそれだけなんでしょうか?

今回は「新薬」と「ジェネリック」の違いについてお伝えします。

新薬

新薬の開発

「新薬(先発医薬品)」は開発に長い年数と莫大な開発費を必要とします。

有用成分を見つけ出し、非臨床実験(動物実験)などを経て、臨床実験(治験)が行われ、新薬の効果や副作用の情報を収集し、有効性や安全性を確認してから厚生労働省へ認証申請。

厚生労働省の審査が通り、認証されることでやっと新薬の誕生です。

開発にかかる年数はおよそ9年~15年、費用は約300億~500億円だと言われています。

また、「新薬」には製薬会社の特許がかかり、莫大な開発費を回収していくのです。

特許の期間は20年~25年で、開発した製薬会社が独占して販売します。

ジェネリック

ジェネリック

「ジェネリック(後発医薬品)」は「新薬」の特許が切れた後、同様の有用成分や製法で製造される医薬品のこと

アメリカやドイツなどでは「ジェネリック」のシェアが80%以上で、イギリスやスペインでは60%以上。

日本は2011年では約20%と低かったのですが、急激に普及が進み、2016年では約60%まできています。

また、「ジェネリック」は臨床実験や毒性検査などの多くカットすることができ、製造販売までの年数や開発費は比べ物にならないほど低いです。

製造販売までの年数は約3年、開発費は数千万円~1億円と言われています。

そのため、「新薬」よりも安く提供することが可能。

「新薬」と「ジェネリック」の違いは?

「新薬」と「ジェネリック」は御存知の通り、価格の差が大きいです。

それでも、諸外国と比べると価格差は小さい方で、「新薬」を選んだ場合でも医療費が高すぎると感じることは少ないでしょう。

「新薬」に0.7をかけた値が「ジェネリック」の値段だと言われています。(例:新薬が500円ならジェネリックが350円)

また、同じ部分としては、有用成分の種類と量、用法・用量、効能・効果

薬の形状や味、色、添加物などは違っても大丈夫です。

「ジェネリック」は飲みやすいように錠剤に変わったり、飲みやすい味にしたりと改良が加えられています。

ここまでだと「ジェネリック」の方が良いことばかりで、「新薬」を選ぶメリットはありませんね。

でも、「新薬」自体の特許が切れていても、製法特許や製剤特許などは切れておらず、全く同じ製法や製剤で作れないということも少なくありません。

そして、製法や製剤が変わることで、主成分は一緒でも添加物などで効き目が変わってくるということは十分ありえます。

クリアしている試験の数が違う分、品質にやや不安があるという人も一定数はいるでしょう。

そういうこともあって、安全・安心志向の強い日本人には「ジェネリック」の普及がなかなかすすみませんでした。

最近では、低価格や安全性の強調もあり、急激に普及がすすんでいます。

 

今回は「新薬」と「ジェネリック」の違いについてお伝えしました。

「ジェネリック」のデメリットは本当はもう1つあります。

「新薬」を開発するような大きな製薬会社にいく利益が「ジェネリック」を製造販売した製薬会社にもいくことで減ってしまうことです。

独占してたのが分配されるのは当たり前と感じるかもしれませんが、「新薬」の開発に回せるお金が減ってしまいます。

その結果、「新薬」の開発が行えなくなる可能性もあるということです。

医療費の削減に貢献している「ジェネリック」ですが、医療の進歩には「新薬」の方が貢献するといえるでしょう。

ぜひ参考にしてみてください。