「容疑者」と「被疑者」、「被告人」の違いとは?

ニュースやドラマでよく耳にする「容疑者」。日本のどこかで事件は起こっていて聞かない日の方が少ないかもしれません。

また、似たような意味で使われている「被疑者」と裁判にかけられている「被告人」という言葉もあります。

今回はそんな「容疑者」と「被疑者」、「被告人」の違いについてです。

容疑者

「容疑者」は犯罪の嫌疑を受け、捜査機関によって捜査の対象になっている人物を指す言葉。

法律用語ではなく、主に報道機関やドラマで使われます。

使われ始めたのはここ数十年で、1984年にNHK、1989年に各民放や新聞で使われ始めました。それまでは容疑がかかっている人を実名報道していましたが、真犯人と決めつけてしまっているという理由から使うようになりました。報道された後にその人が冤罪だったら大問題ですよね。

それからは報道機関や新聞は「容疑者」という言葉を使っていますが、「被害者」と区別する目的もあります。「容疑者」のことを法律用語では「被疑者」と呼ぶんですが、「被疑者」と「被害者」は似ていて区別がしにくいです。被害を受けた人と容疑がかかっている人が間違われてしまうのは大問題ですね。

ちなみに、犯人が逮捕されていない段階でメディアが「容疑者」を使うことは少なく、指名手配犯でもなければ身柄確保されてから「容疑者」と報道されることが多いです。それまでは捜査機関の捜査対象であっても「さん」付けで報道されます。ただし、報道されていないだけであってその人が「容疑者」や「被疑者」である事実は変わりません。

被疑者

「被疑者」は犯罪の嫌疑を受け、捜査機関によって捜査の対象になっている人物を指す言葉。

意味は「容疑者」と全く同じで、「被疑者」は法律用語です。

メディアでは間違いにくいように「容疑者」が使われますが、警察等の公的機関では「被疑者」が使われます。

公的機関でも「容疑者」が使われることがあり、それは出入国管理及び難民認定法に違反しているとされる外国人に対してです。それ以外は「被疑者」と呼ぶのが基本。

被告人

「被告人」は 刑事訴訟で、犯罪の嫌疑が十分であるとして公訴を提起された人物を指す言葉。

逮捕後に検察官に起訴されるまでは「被疑者」、起訴されたあとは「被告人」となります。

また、「被告人」も法律用語

ちなみに、メディアでは「被告」と呼ぶことも少なくないですが、刑事訴訟の場合は「被告人」を使うのが正しいです。法律用語の「被告」は民事訴訟や行政事件訴訟で訴えられた人を指す言葉となります。

「容疑者」と「被疑者」、「被告人」の違い

「容疑者」と「被疑者」は同じ意味です。マスコミで使われるのが「容疑者」、公的機関で使われるのが「被疑者」。ただし、出入国管理及び難民認定法に違反している疑いのある外国人には公的機関も「容疑者」を使います。

そして、捜査が進み逮捕されてもしばらくは「被疑者」です。検察官に起訴されたあとは「被告人」となります。

 

今回は「容疑者」と「被疑者」、「被告人」の違いについてお伝えしました。

ニュースなどの報道では「容疑者」を耳にするので、「被疑者」の方が聞き慣れないですよね。でも、法律用語では「被疑者」が正しいです。

ぜひ参考にしてみてください。