「悲しい」と「哀しい」の違いとは?
「悲しい」と「哀しい」はどちらも「かなしい」と読み、泣いてしまうような場面で使われることが多いです。
普段使う機会が多いのは「悲しい」で、小説や漫画のような創作作品では「哀しい」がそこそこ使われています。
では、この2つの意味はどう違うのでしょうか?
ニュアンスはなんとなくわかるけど、詳しい説明を求められると困るという人が少なくない言葉です。
今回はそんな「悲しい」と「哀しい」の違いについてお伝えします。
悲しい
「悲しい」は心が痛んで泣けてくるような気持ちや嘆いても嘆ききれない気持ちを指す言葉。
「悲」という漢字は、「非」が2つのものが左右に別れるさまを表し、「心」はそのまま心。「非 + 心」で心が張り裂けるような切なさを表します。
また、「悲」は常用漢字のため、公的な文章や新聞では「悲しい」を使うのが通常。
哀しい
「哀しい」は心が痛んで泣けてくるような気持ちや嘆いても嘆ききれない気持ちを指す言葉。
意味は「悲しい」と同じです。
また、「哀」という漢字は、「口 + 衣」で口を衣で隠し、涙で息もつまるほど泣くことを表しています。「悲しい」はその様子からかなしみが他人に悟られてしまう様子を表現するのに対し、「哀しい」は自分の中に感情を押し込め、胸がつまるような思いをしているということ(胸のうちに秘めたかなしみ)を表現。
小説や漫画の主人公やヒロインはかなしみを表に見せようとしない場面が多いため、「哀しい」を使うことが多くなります。
ちなみに、「哀」は常用漢字ですが、「かな」という読み方は表外読み(常用漢字表にない読み方)です。そのため、公的な文章や新聞では「悲しい」を使います。
そして、「悲しい」や「哀しい」だけでなく「愛しい」も「かなしい」と呼ぶことが出来ます。もちろんこれも、表外読みです。
愛しい
「愛しい」は可愛くてたまらないさまや切ないほどいとおしく感じることを指す言葉。
「いとしい」と読むのが普通ですが、古い時代の文章では「かなしい」と呼ぶ場合があります。古文に出てくる「かなし」という表現は漢字で書くと「愛し」という場合もあるでしょう。
今は「愛しい」と書いて「かなしい」と読むことは一般的ではなく、創作作品で読者にそう読ませたい場合はふりがなをふってあります。
「悲しい」と「哀しい」の違い
「悲しい」と「哀しい」の意味は同じ。
「悲しい」は表内読みなのに対し、「哀しい」は表外読みです。そのため、公の文章や新聞などのメディアでは「悲しい」が用いられます。
そして、「悲しい」は切なさを表し、「哀しい」はうちに秘めたかなしみを表すので、小説などでは「哀しい」が使われることが少なくないでしょう。
今回は「悲しい」と「哀しい」の違いについてお伝えしました。
公の場でも使える「悲しい」を使っていれば間違いないですが、創作作品を書くときなどは「哀しい」も使ったほうが読者に登場人物の心情を伝えやすくなります。ちなみに、「哀しい」の「かなしい」という読み方は表外読みですが、「喜怒哀楽」などで使う音読みの「あい」や「哀れむ」の「あわ」という読み方は表内読みです。
ぜひ参考にしてみてください。
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