牛肉の「A5」と「A4」、「B5」の違いとは?
メディアなどでも良い牛肉を指すときに使われる「A5ランク」。
お店によってはあえて「A4ランク」を出すなんてところもあります。
また、「B5」や「C5」というのもあるって知っていますか?
そして、5と4だけでなく、1まであります。
今回はそんな牛肉の「A5」と「A4」、「B5」の違いについてです。
「A」や「B」は歩留等級
牛肉のランク付けは公益社団法人の日本食肉格付協会(JMGA)によって行われています。
そして、歩留(ぶどまり)等級は「A」~「C」までランク付け。
計算式があり、ロース芯の面積とばらの厚さ、皮下脂肪の厚さ、半丸枝肉重量を当てはめて算出。
計算式は、67.37 + (0.130 × ロース芯の面積) + (0.667 × ばらの厚さ) - (0.896 × 皮下脂肪の厚さ)- (0.025 × 半丸枝肉重量) =歩留基準値。
※肉用種枝肉の場合は2.049を加算
この計算式で出た数値によってA、B、Cが決まります。
等級 | 歩留基準値 |
---|---|
A | 72.0以上 |
B | 69.0以上72.0未満 |
C | 69.0未満 |
「B」を標準と考え、標準よりも良いものが「A」、標準より悪いものが「C」です。
また、筋間脂肪が厚すぎるものやももの厚みが薄くて著しくバランスの悪いものは等級が1ランクダウンします。
例えば、数値が72.0以上でもこれに当てはまるとAではなくB、数値が70前後でもBからCに下げられてしまうのです。
「5」~「1」は肉質等級
肉質等級は歩留等級と同じく、日本食肉格付協会(JMGA)によって決定。
肉質等級はアルファベットではなく、「5」~「1」までの5段階でランク付けされます。(5が上で、1が下)
脂肪交雑と肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質の4項目の等級を見て決定。
脂肪交雑
「脂肪交雑」はロースに入ったサシ(脂肪分)の度合いで判断されます。
わかりやすく言うと、どれくらい霜降りが入っているかです。
判断基準にB.M.S(牛脂肪交雑基準)と呼ばれる12段階のチャートが使われます。(写真と肉を比較する)
脂肪交雑等級 | B.M.SのNo. | |
---|---|---|
5 | かなり多いもの | No.8~12 |
4 | やや多いもの | No.5~7 |
3 | 標準 | No.3とNo.4 |
2 | やや少ないもの | No.2 |
1 | ほとんどないもの | No.1 |
肉の光沢
「肉の色沢」は肉の色や光沢によって判断されます。
肉の色はB.C.S(牛肉色基準)と呼ばれる7段階のチャートが使われ、光沢は肉眼で判定。
肉の色沢等級 | B.C.SのNo. | 光沢 | |
---|---|---|---|
5 | かなり良いもの | No.3~5 | かなり良いもの |
4 | やや良いもの | No.2~6 | やや良いもの |
3 | 標準 | No.1~6 | 標準 |
2 | 標準に準ずるもの | No.1~7 | 標準に準ずるもの |
1 | 劣るもの | 等級5~2以外のもの |
B.C.SはB.M.Sとが違い、等級で重複しているものもあります。
色と光沢の総合判断です。
肉の締まり及びきめ
「肉の締まり及びきめ」は肉の保水力ときめ細かさによって判断されます。
良い肉を表す表現で、身が締まっているといいますよね。
それを肉眼で判断し、等級付けしたものです。
肉の締まり及びきめ等級 | 締まり | きめ |
---|---|---|
5 | かなり良いもの | かなり細かいもの |
4 | やや良いもの | やや細かいもの |
3 | 標準 | 標準 |
2 | 標準に準ずるもの | 標準に準ずるもの |
1 | 劣るもの | 粗いもの |
脂肪の色沢と質
「脂肪の色沢と質」は脂肪の色と光沢、質を見て判断されます。
脂肪の色はB.F.S(牛脂肪色基準)と呼ばれる7段階のチャートが使われ、光沢や質は肉眼で判定。
脂肪の色沢と質等級 | B.F.SのNo. | 光沢 | 質 |
---|---|---|---|
5 | No.1~4 | かなり良いもの | |
4 | No.1~5 | やや良いもの | |
3 | No.1~6 | 標準 | |
2 | No.1~7 | 標準に準ずるもの | |
1 | 等級5~2以外のもの |
肉質等級を決定
脂肪交雑と肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質の4項目のそれぞれのランクが出たら、最終的なランクを決定します。
4項目のうち最も低いランクがその牛肉の肉質等級です。
例
項目 | 等級 |
脂肪交雑 | 5 |
肉の色沢 | 5 |
肉の締まり及びきめ | 4 |
脂肪の色沢と質 | 5 |
肉質等級 | 4 |
---|
つまり、どれか1つでもランクが「4」だと、最終的なランクが「4」になるということです。
「5」を取るためには全てが「5」である必要があります。
歩留等級と肉質等級をあわせて肉の等級を決定
歩留等級で「A」、肉質等級で「5」を獲得した牛肉が「A5ランク」です。
どちらの等級でもトップの最高級ランクということになります。
流通するときの牛肉の値段が最も高く、適正な価格で牛肉が取引されるためにこの格付けがあるのです。
ただし、それがイコールで万人にとって美味しいというわけではありません。
「A5ランク」は霜降りがたくさんあって美味しい肉というのは間違いないのですが、脂肪が苦手という人には「A4ランク」の方が美味しいという人もいます。
そのため、お店によってはあえて「A4ランク」を使っているところもあるくらいなんです。
高いからA5ランクが良いとは決めつけず、A4ランクもぜひ食べてみてください。
今回は牛肉の「A5」、「A4」、「B5」の違いについてお伝えしました。
Cランクは経産牛が多く、値段も低くつけられるため、畜産農家さんが流通させずに食べている場合があります。
ぜひ参考にしてみてください。
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