「霧」と「靄」、「霞」の違いとは?
秋の朝に発生しやすい「霧」は濃いものだと濃霧注意報が出されますね。発生しやすい場所は盆地や谷沿いです。
また、「霧」に似た言葉に「霞」と「靄」があります。「霞がかった春の海」や「春霞」といった表現があり、「霞」は春によく聞く言葉ですね。俳句では「霞」が春、「霧」が秋の季語になっているそうです。
漢字の難しい「靄」は「薄靄が立ちこめる」や「心に靄がかかる」といった表現をし、季節は問わないイメージがあります。俳句でも「靄」は季語ではありません。
では、「霧」と「靄」、「霞」の違いとは何なのでしょうか?
霧
「霧」は空気中の水蒸気が凝結して微小な水滴となって浮遊し、視程が妨げられる気象現象。
気温が-30℃以下の限られた条件でしか発生しませんが、水滴が氷晶となったものは「氷霧」と呼びます。氷晶が降ってきた場合はダイヤモンドダストと呼び、氷晶の大きさはダイヤモンドダストの方が氷霧よりも大きいです。
また、気象用語の「霧」は視程が1km未満の状態を指し、陸上で視程が100M未満、海上で500M未満の状態は「濃霧」。
霧:微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態。
濃霧: 視程が陸上でおよそ100m、海上で500m以下の霧。
引用:気象庁
ちなみに、霧は発生条件によって「移流霧」、「放射霧(輻射霧)」、「蒸発霧(蒸気霧)」、「前線霧」、「滑昇霧」、「混合霧」、「逆転霧」に分けられます。発生した場所によっても「盆地霧」や「谷霧」、「山霧」、「内陸霧」「海霧」というように呼び方が変わります。
靄
「靄」は空気中の水蒸気が凝結して微小な水滴となって浮遊し、視程が妨げられる気象現象。
現象自体は「霧」と同じです。
違うのは視程の距離で、1km以上10km未満。
もや:微小な浮遊水滴や湿った微粒子により視程が1km以上、10km未満となっている状態。
引用:気象庁
視程が狭くて車や船の運転が危なくなったりするのは「霧」で、「靄」は視界がいいわけではないけど遠くは見渡せないといった状態です。
また、発生条件や場所による言い分けはせず、「靄」と表現します。
霞
「霞」は空気中に様々な細かい粒子が浮遊し、視界が悪い現象。
「霧」や「靄」のように気象用語ではなく、水蒸気による水滴のものだけでなく、黄砂などの塵や煙によるものでも視界が悪くなっていれば「霞」と言えます。(煙の場合は煙霧といった表現を使うこともあり。)
また、夜の場合は「霞」を使わず、「朧(おぼろ)」を使います。そのため、「朧月」という表現はあっても「霞月」という表現はありません。
「霧」と「靄」、「霞」の違い
「霧」と「霞」は気象用語で、「霞」は気象用語ではありません。
また、より濃くて視界が悪いのが「霧」でさらに濃くなると「濃霧」、遠くが見にくいのが「靄」。視界が悪ければ水蒸気によるものでなくても(塵やスモッグなども)「霞」と呼べます。
そして、「霧」は発生条件や場所によって様々な呼び方があり、「靄」や「霞」はそういった表現はありません。(春霞といった呼び方はありますが、霧ほど呼び方が多くない)
今回は「霧」と「靄」、「霞」の違いについてお伝えしました。
天気予報でも聞く機会が多いのは「霧」で漢字で書きやすいのも「霧」ですね。「靄」と「霞」は漢字で書くように急に言われても間違える人が多いのではないでしょうか。
ぜひ参考にしてみてください。
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