「ずつ」と「づつ」の違いとは?

2017年6月3日

どちらも発音は一緒の「ずつ」と「づつ」ですが、書くときは違います。

そして、自分が合っていると思っている方じゃない方を見たときに違和感を感じますね。

テレビのテロップですら、「一人ずつ」と書かれているときもあれば、「一人づつ」と書かれている場合もあります。

今回はそんな「ずつ」と「づつ」の違いについてです。

「ずつ」と「づつ」は時代で変わってきた言葉

1946年以前の歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)では「づつ」が正しいとされていました。

和語の数詞「ひとつ」、「ふたつ」の「つ」が「つつ」となり、畳語の連濁で「づつ」となったと言われています。

畳語は反復して作られた単語を指し、「時々」や「人々」などは完全畳語、「つづく」や「くぐる」などは部分畳語です。

そして、1946年(昭和21年)に現代かなづかいが内閣告示され、「づつ」ではなく「ずつ」を原則的に使うことが制定されました。

この時代は「づつ」は間違いで、「ずつ」を使うのが正解。

公文書や新聞、テレビ放送などでも「ずつ」が使われ、国語教育でも「ずつ」です。

そして、1986年(昭和61年)に現代かなづかいが改定され、現代仮名遣いが内閣告示されました。

「づつ」を完全な誤用としてしまうと、歴史的仮名遣いで習った人が書いたものや文化的な文書に良くない認識をしてしまいますよね。

ご年配なのに日本語を間違っているなんて勝手に思ってしまいかねません。

でも、この時代の人はそう習ったので、それが正解だったのです。

そこで、原則的に「ずつ」を使うが、「づつ」も許容するとされました。

ちなみに、正則は「ずつ」なので、学校教育では「ずつ」と教えられます。

学校のテストでも「ずつ」が○で、「づつ」だと×になるでしょう。(「一人ずつ」や「少しずつ」の場合で例外もあり

日常生活で「づつ」は使ってもいいけど、「ずつ」の方を使いましょうということです。

そのため、テレビ放送や新聞などで「少しづつ」などが使われるのはあまり好ましくありません。

「づつ」が正しい言葉もある

現代仮名遣いでも「づつ」を使うほうが正しいという言葉はあります。

2語が組み合わさった言葉は「づつ」を使うのが正解。

例えば、「竹筒」は「たけづつ」、「小包」は「こづつみ」です。

「竹」と「筒」を離した場合は、「つつ」、「小」と「包」を離した場合は「つつみ」と濁らない単語。

それが組み合わさることで濁るようになります。

また、「づつ」ではなく、「つづ」ですが、「づ」と濁る言葉もあるんです。

それが、「つづく」や「つづり」のような部分畳語。(つが連続する動詞や動詞から名詞に変わった単語)

「舌鼓」も「したづつみ」と読んでいるがいますが、「したつづみ」が正しい読み方です。

例外もあり、筒井や堤などの人名、つつじなどの名詞は「つつ」と連続していても濁りません。

「ずつ」と「づつ」の違いは?

「ずつ」と「づつ」は時代によって変わってきましたが、原則的には「ずつ」を使うのが正しいとおぼえておきましょう。

「一人ずつ」や「少しずつ」の場合に、「一人づつ」や「少しづつ」にするのはNG。

でも、SNSなどで使うような場合は許容範囲なので、「一人づつ」と書かれていても間違いだと指摘するのはやめておきましょう。

また、「竹筒」や「小包」、「舌鼓」をひらがなで表記する場合は、「づつ」が正解。

この場合は、「ずつ」にしてしまうと間違いなので、注意しましょう。(テストなどで間違えそうなときは1単語ずつ読んでから濁点をつけると間違えにくいです。)

 

今回は「ずつ」と「づつ」の違いについてお伝えしました。

歴史によって使い方が変わったため、人によって普段使っているのが分かれる言葉です。

71歳を超える高齢の方だけでなく、その人から教わった子供や孫も「づつ」を使う可能性は十分あります。

正しい日本語って難しいですね。

ぜひ参考にしてみてください。